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仏教入門
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エジプトの砂漠に千古の沈黙をまもるスフィンクスは、 「始めは四本足で歩き、中ごろは二足となり、終わりに三足となる動物は何か」 と旅人に問いかけ、答えられない者を食い殺したといいます。 つまり人間に向かって、「人間とはなんぞや」と問うたのです。政治も経済も科学も、医学、文学、哲学、宗教も、この問いに答えんとしている、といえるでしょう。 一人一人がこの問いに、答えなければなりません。 |
人間とはどんなものか、釈迦は『仏説譬喩経』に、たとえで教えられました。
聴衆の中にいた勝光王に向かって、次のように説法されています。
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季節は、木枯らしの吹くさびしい秋の夕暮れ。家路を急ぐ旅人は、野道に白い物が散らばっているのに気づいた。初めは気にもとめなかったが、あまりにもたくさん落ちている。 「一体なんだろう」 そのとき、異様なうなり声と足音が聞こえてくる。見れば飢えに狂ったどう猛な虎が、自分めがけてまっしぐらに突進してくるではないか。 旅人は瞬時に、白骨の意味をさとった。ここを通った人間が、虎に食われた残骸だったのだ。自分にも同じ危機が迫っている。旅人は無我夢中で、今来た道を引き返した。だが、虎が相手では勝ち目はない。荒い息づかいが、背中に感じられる。 ところが、どこでどう道を間違えたのか、旅人は、切り立った断崖絶壁に追いつめられてしまったのである。もはやこれまで。途方に暮れた旅人は、幸いにも頂上の木の根から、一本の藤蔓が垂れ下がっているのに気づいた。「しめた!」とスルスル下りていったことは、言うまでもない。 九死に一生を得て、ホッと頭上を仰ぐと、せっかくの獲物を逃した虎は、いかにも無念そうに吠えながら、こちらを見下ろしている。ヤレヤレ、この藤蔓のおかげで助かった。ひとまず安心と目を下方に転じたときである。旅人は思わずアッと口の中で叫んだ。 足下は底の知れない深海が広がり、怒濤が岸壁を洗っていた。それだけではない。波間から青・赤・黒の三匹の毒竜が、真っ赤な口を開け、旅人が落ちるのを待ち受けていたのである。まさに前門の虎、後門の狼。絶体絶命の旅人は、あまりの恐ろしさに、再び藤蔓を握りしめて身震いした。 しかし旅人はやがて空腹を感じ、周囲に食を求めて眺めまわす。そのとき彼は、今までより、もっともっと驚くべきことを発見したのである。 ネズミが藤蔓をかじっている! 白と黒の二匹のネズミが、命の綱を代わる代わる、ガリガリ、ガリガリとかじり続けていたのだ。蔓を激しく揺さぶっても、動こうとしない。旅人の顔は青ざめ、歯はガタガタと震えた。 だがそれは続かなかった。この木に巣を作っていた蜜蜂が、甘い蜜の滴りを、彼の口に落としたからである。 「ああ、おいしい。もっとなめたい……」 |
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釈迦がここまで話をされると、勝光王は驚いて言いました。 |
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